斎藤佑樹が引退した。
プロ野球史上たぐいまれなスターだ。
言っちゃ悪いが、この生涯成績の2軍の選手が、1軍でこんなに手厚い引退セレモニーを受けたのは後にも先にも斎藤佑樹しかいないだろう。
普通ならとっくに戦力外通告だとか、特別扱いが過ぎるだとかの声もあっただろうが、そんなこと今となればどうでもいい。
斎藤佑樹の引退試合を見るために遠くから足を運んだファンもいる。チケットは完売だ。
そして、なによりもよかったのが最後のバッターとの忖度なしの真剣勝負。
今までなら引退する選手に花を持たせて空振り三振っていうお約束のパターンだったが、今回は違った。
それは、ファンにも斎藤自身にもよかったことだと思う。
最後に真剣勝負ができたことは何よりも清々しいものだったと思う。
1軍での活躍は、わずかでありながら、これだけのファンが集まり、引退セレモニーを行えるということは、間違いなくスターだった証拠だ。
プロ野球選手で、引退セレモニーをしてくれる選手なんて1%ぐらいしかいないんじゃないかな。大スターにしか残されていない花道。
そう考えれば、斎藤佑樹はプロ野球史上初の成績じゃない大スターだったのだ。
田中将大という存在もまさに運命のめぐりあわせだったという気がする。
人々の記憶のすべてはあの夏の甲子園から。
そしてその記憶が野球ファンの中から消えなかった。