短い雑記

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アフター・ザ・ファイヤー 『秘密警察』

 

アフター・ザ・ファイヤー 『秘密警察』のレビュー

アフター・ザ・ファイヤーは、イギリスのロックバンドで、1970年代から1980年代にかけて活動していました。彼らの代表曲は、ファルコのカバーで有名な『Der Kommissar』ですが、その原曲は彼らの1982年のアルバム『秘密警察』に収録されています。このアルバムは、当時の政治的な緊張や社会的な不安を反映した、シンセポップとニューウェーブの要素を取り入れた作品です。今回は、このアルバムの魅力について紹介したいと思います。

まず、アルバムのオープニングを飾る『Der Kommissar』は、ドイツ語と英語が混ざった歌詞で、東西冷戦下のベルリンを舞台にした物語を描いています。秘密警察に追われる若者たちの姿を、切なくも力強く歌っています。シンセサイザーとギターの組み合わせが効果的で、緊迫感と躍動感を感じさせます。この曲は、後にファルコやローラ・ブラニガンなどにカバーされましたが、オリジナルの魅力はやはり別格だと思います。

次に、『Dancing in the Shadows』は、ダンスフロアで踊る人々の様子を描いた曲ですが、その裏には核戦争の恐怖が潜んでいます。歌詞には、「We're dancing in the shadows / Waiting for the bomb to drop」という一節があります。この曲は、1983年にシングルカットされてヒットしましたが、その年はNATOとソ連の間で核ミサイルの配備問題が激化した年でもありました。ダンスミュージックとしても楽しめる曲ですが、当時の世相を反映したメッセージも含まれています。

また、『Laser Love』は、恋人との別れを嘆く曲ですが、その背景には宇宙開発競争やスターウォーズ計画などがあります。歌詞には、「You're a laser love / You're a beam of light / You're a star in the night」という一節があります。この曲は、1979年にシングルカットされてヒットしましたが、その年はNASAがスペースシャトルの初飛行を行った年でもありました。恋愛ソングとしても感動的な曲ですが、科学技術の進歩と人間の感情の乖離もテーマになっています。

最後に、『One Rule for You』は、宗教的な狂信者や政治的な権力者を批判する曲です。歌詞には、「One rule for you / One rule for me / One rule for the whole world to see」という一節があります。この曲は、1980年にシングルカットされてヒットしましたが、その年はイラン革命やポーランドの連帯運動などが起こった年でもありました。社会正義や自由を訴える曲ですが、バンド自身もキリスト教徒であることを公言していました。信仰と政治の関係について考えさせられる曲です。

以上、アフター・ザ・ファイヤーの『秘密警察』のレビューでした。このアルバムは、1980年代の音楽と社会の動向を象徴する作品だと思います。シンセポップやニューウェーブのファンはもちろん、歴史や政治に興味のある方にもおすすめです。ぜひ、一度聴いてみてください。

 

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